輪島塗 『輪島キリモト』
漆器の最高峰 「輪島塗」
今回掲載したブランドは、輪島塗の『輪島キリモト』です。
塗りの素晴らしさで、世界にその名をとどろかす、日本代表の漆器“輪島塗”。
数ある漆器産地の中でも、重要無形文化財として指定を受けているのは、
輪島塗ただ一つだけです。
とろりと上品で妖艶な艶、深みのある落ち着いた色、その見かけとは逆に丈夫で
長持ちする輪島塗の漆器は、名実ともに“漆器の最高峰”といえるでしょう。
大きな特徴は、輪島産の珪藻土を焼いて粉にした“地の粉(じのこ)”というものを
下地に塗る点です。その粉を漆に混ぜて二度三度と塗ると、頑丈な塗膜ができ、
ベースとなる木地(きじ)の強度を上げることができるのです。
ちなみに“珪藻土”とは、海や湖沼に堆積する植物性プランクトンの死骸で、
七輪の原料としてよく知られています。耐火性、断熱性、吸湿性に優れ、
古くから壁材にも使われていましたが、昨今の自然回帰ブーム、エコブームに
乗って、ふたたび脚光を浴びている自然素材です。
その機能性を発見し、室町時代の頃より漆器に用いていた先人達には脱帽です。
“よそゆき”ではない、“いつもの”うるし
『輪島キリモト』は、漆プロデューサー・桐本泰一さんのブランド。
サラリーマン時代に、家具や文具のコクヨでオフィスプランニングを担当していた
桐本さんは、1987年に地元へ戻り、輪島塗の世界に足を踏み入れたそうです。
自社商品の開発・製作以外に、全国各地を飛び回り、一年中大忙しの桐本さんですが、
つい先日も東京ミッドタウン内の『虎屋』で開催した展示とセミナーは大好評でした。
また、他業種の高級ブランドの依頼でオリジナル作品を製作することも多く、
今月ある女性誌に取り上げられた企画では、輪島塗に蒔絵をほどこした
ルイ・ヴィトンの素敵な小物入れを製作されました。
通常、輪島塗は、完成までになんと124もの作業を経て完成されますが、分業制度
をとる輪島では、その作業は大きく8〜10の分野に分けられ、各工程を専門の
職人が仕上げていきます。
しかし、もともと実家が木地屋であった桐本さんは、木地から塗りまで一貫して生産
することができ、『輪島キリモト』ならではの感性豊かな漆器が生み出せるのです。

“すぎ椀”は、極上の艶感を帯び、まるでパールがかったような輝き。
手にとった瞬間、なんとなくしっとりした手ざわりですが、それは、漆というものが、
乾燥によって硬化するのではなく、大気中の水分を漆の分子が取り込みながら
硬化していくからだそうです。つまり、硬化しても内部に水分を含んだ状態で、
手で触るとみずみずしい人肌のようにしっとり感じるのです。
漆器は使わずにしまっておくより、毎日使うことにより、水分で潤いを保つことが
できる、生きた器なのです。
輪島というと、2007年3月の“能登半島地震”が記憶に新しいと思いますが、
名物には、輪島塗のほかに、“日本三大朝市”として岐阜県飛騨高山や
千葉県勝浦の朝市と並び称される朝市があります。
1000年以上続いているここ輪島の朝市は毎日開催され、長さ約360メートルの
「朝市通り」が、地元の人や観光客で賑わっています。
9月末に訪れたときも、漆器や海産物などを売る店が数百店舗並んで、威勢のいい
お母ちゃんたちの声で活気づいていました。
つづく。






